行政書士山口のブログ10 強制執行妨害罪?
”逆風を切り裂いて”
先日、仕事先の駿河台からの帰り道、
テレビからこの言葉が流れているのを聞きました。
強い言葉で、心にくっきり残りました。
今、この時代、逆風にさらされている人が、たくさんいます。
私の受けた案件で、次のようなものがありました。
Aさんは、兄であるBさんから頼まれ、借金の連帯保証人になりました。
金額はとても多かったのですが、決して迷惑はかけないからと言われ、
断りきれなかったのです。
ところが、それから1年後、Aさんにガンが見つかりました。
余命6カ月と宣告されました。
もし、Bさんが借金の返済をとどこおれば、Aさんの死後、責任を追及され、
体の弱い妻や、まだ小さい子供達が、住む家を失ってしまいます。
妻や子が相続放棄しても、住む家を失うのは、同じです。
そこで、Aさんは自分達が住んでいる、土地と建物の所有権の名義を、
妻に代えました。
これは、「法律上、何か問題になるでしょうか」、とたずねられました。
刑事上や民事上、問題点が考えられますが、
刑事上、問題として考えられるのは強制執行妨害罪でしょう。
強制執行妨害罪は、強制執行を免れる目的で、財産を隠匿し、
損壊し、もしくは仮装譲渡し、または仮装の債務を負担した場合に、
一定の刑罰が科されるものです。
この場合は、この要件を満たさないと思われますが、とてもつらい案件でした。