行政書士山口のブログ9 遺言が無い
夫は長年、大企業に勤めていました。
海外赴任があったり、女性問題を起こしたり、
色々ありましたが、子供はないものの、
70歳を過ぎて、夫婦の穏やかな日々が始まりました。
しかし、2歳年上の妻が
アルツハイマー型の認知症を発症しました。
夫は、元々、病弱だった妻に、
これまでの償いの意味もあり、介護を続けてきました。
そして、近くに住む、夫のおいの子が、
夫婦の通院や買い物、日常のこまごまとした面倒を、
親身に見てきました。
夫は、そんな彼を頼り、先に逝くであろう妻の後の、
自分の死後は、その彼に財産を譲ろうと思い、
彼にその話しをし、彼も了承してくれました。
ところが、妻が87歳、夫が85歳、になってすぐ、
夫にガンが見つかりました。余命半年という末期ガンでした。
夫は、だんだん食が細くなっていき、
足もむくみ、入院しました。
夫は、身体が弱るとともに、認知症の症状が出始めました。
余命は1~2カ月と言われました。
今、夫婦の面倒は、変わらず、親身に、
彼がみています。
残念ながら、夫はまもなく亡くなるでしょう。
すると、本件の具体的事案では、
残った妻が夫の財産を相続することになります。
しかし、その妻が亡くなったとき、
夫から妻が相続していた財産は、
これまで、まったく寄り付きもしなかった、妻の親族が全部、
取得することになります。
夫は、今の状態では、認知症が進み、
遺言を作成することはできません。
人は、いつどうなるか、わかりません。
遺言は書けるうちに書いておきたいものです。
新年とか、誕生日は、
そのひとつの区切りになるのではないでしょうか。